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2020年は愛知目標の目標年|生物多様性への取り組み状況を見る

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この記事のポイント

  • 愛知目標に対するこれまでの世界の取り組み状況のレポートが発表された。
  • 一部に進展はあったが状況は悪化しており、取り組みの強化が必要。
  • コロナ禍の原因のひとつが生物多様性の破壊にあることを再認識し、自社の事業活動を改めて見直す機会である。

2020年3月の記事 で、2020年は愛知目標の目標年であるため、生物多様性が注目されるという紹介をしましたが、同10月に、これまでの世界の取り組み状況のレポートが出ました。地球規模生物多様性概況第5版(Global Biodiversity Outlook5(GBO5))というもので、各国からの愛知目標に対する取り組み状況報告の他、各種研究やデータをもとに作成されています。

20ある愛知目標は、進展があったものの、完全に達成できたものはなく、2021年に設定されるポスト2020目標に向けて課題を突き付けることになりました。
下記の環境省Webサイトでは、GBO5の原文、日本語抄訳、20の目標の達成状況の図解へのリンクがあります。>>地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)の公表について

内容の多くは、政策の進捗に関するものですし、詳細はリンクをご覧いただければと思います。簡単に言うと「一部に進展はあったが状況は悪化しており、取り組みの強化が必要」ということです。生物多様性の問題は、気候変動とも密接に関係しますし、SDGsにも含まれています。業種によって関係の深さに差はありますが、今後さらなる取組みが求められるはずです。

GBO5の最後では、TRANSITIONS TO SUSTAINABLE PATHWAYSとして、今後進んでいくべき8つの道筋が提案されています。さらにその最後に「One Health」というものが紹介されています。生物多様性に関する様々な取り組みを統合して、農業から都市の生態系、野生生物を保全することで、生態系と人類の一体的な健康を促進しようという考え方です。

この中で、生態系の破壊が、新型コロナウイルスのような感染症が広まるリスクを高めているという指摘もされています。さらに最後の締めの一文では、取り組みを進めることで、生物多様性の回復、パンデミックリスクの低減、人類のさらなる利益につながると言っています。今回のGBO5のなかでは、この「One Health」は注目されているようです。

2020年はコロナ禍とそれに伴って今の文明社会のあり方に疑問が呈された、人類史に残る年となるのでしょう。ポスト2020目標は、10月に開催される会議で採択される予定でしたが、コロナ禍の影響で2021年5月に延期されました。会議は奇しくも新型コロナウイルスの発生元である中国で行われます。

生物多様性は中国だけの問題ではありませんが、この問題を話し合うにはこれ以上ない場になると思います。来年の5月を目途に、コロナ禍の原因のひとつが生物多様性の破壊にあることを再認識し、自社の事業活動を改めて見直されてはいかがでしょうか。

それにしても、「地球規模生物多様性概況第5版」という、読む人に優しくない直訳名称、普及の妨げになりそうです。何とか工夫できないものでしょうか?例えば邦題として「世界のバイオ・ダイバーシティのいま」とか。

 

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)

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