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社会や環境に良い影響を与える投融資を促す枠組みとなるのか?|環境省が設置するポジティブインパクトファイナンスタスクフォース

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この記事のポイント

  • 環境省がポジティブインパクトファイナンスタスクフォース(という委員会)を設置した。
  • タスクフォースの成果物としては「グリーンインパクト評価ガイド」というものを2021年3月までに作成する予定。
  • 取引先や投資家から、社会や環境に関するデータを求められる流れはなくなりそうにない。

環境省がポジティブインパクトファイナンスタスクフォース(という委員会)を設置しています。第3回へのリンクはこちら

ポジティブインパクトファイナンスの実践及び普及拡大を通じて、ESG金融大国の実現に向けた取組を進めることが目的だそうです。ポジティブなインパクト、つまり「社会や環境に良い影響を与える投融資」と言えばいいのでしょうか、SDGsを達成するためだともいわれています。第一回タスクフォースの資料によると、ポジティブインパクトファイナンスとは、

  • 投融資時に環境面及び社会面にポジティブなインパクトを生み出す意図があるものをいう。
  • 具体的には、経済、社会、環境のうち少なくとも1つに大きなポジティブなインパクトを与え、ネガティブなインパクトが適切に管理及び緩和されている又はしようとするものをいう。
  • インパクトの意図、管理及び緩和に当たり、定量的なインパクトの把握、報告を行うものをいう。

ということです。投融資概念をリスク・リターンの2次元から、環境・社会へのインパクトを加えた3次元へ拡張するという説明もされており、xy軸の平面座標から、z軸も含んだ3次元の立方体で投資を評価するという概念図は、なかなかイメージがしやすいです。ESG投資の発展形ということで、環境や社会に対するインパクトを定量化して報告するという点も新しいと思います。

既に海外ではポジティブインパクトファイナンスの枠組みが沢山あり、国内においても日本企業の特性を踏まえたものを作ることを考えているようです。タスクフォースの成果物としては「グリーンインパクト評価ガイド」というものを2021年3月までに作成する予定だそうです。

世界で初めてのポジティブインパクトファイナンスに基づく融資契約は、2019年3月に三井住友信託銀行が不二製油グループに対して行ったものだそうです。その後も三井住友信託銀行は、ポジティブインパクトファイナンスに準拠した融資を7件ほど行っているようです。とはいえ、運用するには管理、手続きが大変で、コストもかかるでしょう。なにしろ「定量的なインパクトの把握、報告を行う」のですから、やり方によっては大変なことになります。長らく下火になっているあの面倒なLCAと同じ運命をたどらないようにするためにも、過度の正確性や厳密さを求めるのではなく、妥当な落としどころを見つけることができるかがポイントだと思います。

いずれにせよ、取引先や投資家から、社会や環境に関するデータを求められる流れはなくなりそうにありません。やはり、ESGのような非財務データを適切に提供できれば、自社に有利な取引や資金調達をすることができる、そんな世界へと向かっているのかもしれません。

それにしても、最近のESGやらSDGs周りの用語はカタカナばかりです。しかし、地球規模で議論されているのですから、国内の議論でも用語くらいは英語を使ったほうがシンプルです。それに、カタカナよりアルファベットの方が読みやすいのですから、この手の資料でもそう遠くない将来アルファベット表記が標準になって欲しいものです。

  • サステイナブルデベロップメントゴールズ→SDGs: Sustainable Development Goals
  • ソーシャリーリスポンシブルインベストメント→SRI:Socially Responsible Investment
  • ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース→positive impact finance task force

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)

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