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2020年と言えば生物多様性条約「愛知目標」の目標年。いま、企業が問われていることとは!?

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この記事のポイント

  • 2020年は生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)愛知目標の目標年である。
  • 今後も、直接的な規制を視野に、事業活動の自由度が制限される可能性がある。
  • バリューチェーン上の、自社および下流の資源循環の在り方について、見直す時期である。

みなさんは、2020年といえば何が思い浮かびますか?まずは東京オリンピック・パラリンピックを思い浮かべる方がほとんどかもしれませんが、アメリカの大統領選挙、ブレグジットもあります。嵐の活動休止が気になる方もいるかもしれませんね。

環境の分野では、2010年に生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)で締結された「愛知目標」の目標年である、ということが最大のイベントでしょう。オリンピック後の9月には国連で生物多様性サミット、10月には愛知目標の次の目標を採択する(予定の)、第15回の締約国会議が中国・昆明で開催されます。

 

生物多様性の究極的な重要性は、それが生態系を支える基盤であり、もし失われてしまうと人類の存続に計り知れない危険が及ぶという点にあります。健全な生態系がなければ、水や空気が汚染されたまま浄化されず、CO2などの有害物質が吸収されなくなり、土砂崩れや洪水が頻発、気候の不安定化、そして何より質の良い農作物・水産物が育ちにくくなり食料生産に多大な影響を及ぼします。

 

愛知目標にざっと目を通していただき、それが企業にどのような影響を及ぼすか想像してみてください。生物多様性を保全するために(ここでは詳細の解説は行いませんが)、愛知目標では20項目の個別目標が定められました。これを受けて、政策や制度設計が進んで来ましたし、今後も強化されるはずです。

 

 

恐らくは、事業活動の自由度が徐々に制限されるのではないでしょうか。啓発活動だけでなく補助金や税金の導入、禁止や数量制限などの直接的な規制も出てくるかもしれません。

直接的な規制が始まる前に(気候変動対策がそうであるように)、グローバルなソフトローが先行しています。各種アンケートや情報公開が求められ、NPOなどによる監視も始まっています。

 

自社のイメージアップのためだけではなく、中長期的に安定して資源を確保するための具体的な取組もされています。例えば、FSCなどの森林管理や、MSCのような海洋資源管理の認証を受けた場所から調達する動きがあります。認証を受けなくても、調達先の周辺環境の保全活動をしている例もあります。リサイクル材の活用を進めることも、生態系へ依存するリスクを減らし、安定調達につながるでしょう。

 

調達がサプライチェーンの上流とすれば、資源循環は下流との関係です。

 

生物多様性と資源循環の直接的な関係として、汚染物質を環境へ排出せず、適切に処理することで、生態系の破壊の防止となることが挙げられます。間接的には、資源を有効活用することで、新たな資源採取による開発や、加工によるエネルギー消費・汚染物質の排出を防止できます。つまりリサイクルを進め、焼却や埋立を回避することで、CO2の排出や、開発・土地利用による生態系への負荷削減につながるのです。特別なことをしなくても、これまで通り資源循環を推進していけば、生物多様性の保全につながるのです。

 

ところが、普段からこれを念頭に、意識して活動すれば、また少し違った取り組み・PRができるはずです。例えば、資源調達先の開発状況を把握し、リサイクルによる調達量の削減が、調達先の環境影響の緩和にどれくらい役に立つのかを測ったり、埋め立て処分場の跡地利用計画を評価したりすることもできます。

 

さらに、業種によっては自社で回収の仕組みを構築し、リサイクル材を製品の部材として再利用することができます。単独で回収するのが難しい場合は、同業他社やリサイクル業者と連携して仕組みを作っている例もあります。家電リサイクルや複写機業界では数十年前から行われている取組みで、メーカーの責任を果たすだけでなく、既述の通り原料の安定調達にもつながります。

 

愛知目標の目標年という節目をきっかけに、生物多様性や調達リスクの観点から、自社の資源循環の在り方も見直してみてはいかがでしょうか。

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)

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