アップサイクル・プロダクト

産業廃棄物をリノベーション。アートではなく”プロダクト”を目指す一歩先のアップサイクルプロジェクト

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都会的でユニークなデザインの照明やテーブル。
これらはすべて、撤去された街灯や古くなった跳び箱などの産業廃棄物で作られています。


手がけているのは、住宅、オフィス、公共施設をはじめとした空間の設計、リノベーションを行っている、“ 東京R 不動産” でおなじみのデザイン会社「オープン・エー」と、産廃処理会社「ナカダイ」。
2社が共同で取り組む[TH ROWBACK ](スローバック)プロジェクトを取材しました。

ゼロから作らない“モノづくり” ギャップがあるほど面白い!

ゴミ箱に投げ捨てられたモノを、ゴミ箱から投げ返す。そんなイメージから名付けられた「THROWBACK」プロジェクト。これは、「オープン・エー」のディレクターである大橋一隆さんが、群馬県の産業廃棄物処理会社「ナカダイ」を訪れ、大量の廃棄物を前にした時から始まりました。

「価値のないものを価値あるものに。新品ではないモノをデザインの力でよみがえらせる。僕たちが取り組んできた"リノベーション"のノウハウが生かせると直感しました」

一方、以前から廃棄物を解体、分別してマテリアルとして販売していた「ナカダイ」は、「素材を提供するだけでなく、プロダクトの提案もしたいと模索していたタイミングだったので、『ぜひに!』とお願いしました」(同社コンサルティング事業部の宮田美加さん)。 

2つの会社がタッグを組んだプロジェクトは、こうして2016年に始動したのです。
 消防ホースの筒先を照明器具に、ソーラーパネルを会議テーブルにーー。廃棄物から生み出されるスタイリッシュな製品の数々は、元の姿とのギャップがユニークで魅力的。

「ちょっと変わった製品だけれど、社会的にはとても意義がある。そこが面白いですよね」
と大橋さん。

元は何だったのか、なぜ廃棄されたのか。素材が持つストーリーも、廃棄物を使った製品ならではの価値として重視しているそうです。

 廃棄物は毎日出されるから 継続できる仕組みづくりが大切

 現在は、30点近くある試作品の中から、商品化するものをピックアップし、本格的な販売に向けて生産体制を整えている真っ最中。

「THROWBACK」の製品は、一点物のアート作品ではありません。プロジェクトの目的は、製品を作って売るだけにとどまらず、社会インフラと連動して継続的に製品を流通させるという、新しいビジネスの確立です。
 素材となる廃棄物は、廃棄の仕組みを知ることで効率的に確保することが可能です。たとえば、街灯は手に入れるのが難しそうですが、LED灯への切り換え時期には大量に廃棄されました。こうした社会の動きと廃棄物との関係を捉え、継続性のある製品づくりへとつなげています。さらに今後は、排出元企業と連携して廃棄物を事前に把握したり、
幅広い産廃処理会社から素材を受け入れたりすることも目指していくそう。


「企業から受け入れたオフィス家具に私たちが新たな息を吹き込み、応接家具としてまた企業に戻っていく。そんな流れが理想です」
と宮田さん。自分たちが廃棄物を出すと同時に、商品を発注してまた使う。新しい廃棄物の循環システムが、THROWBACK」によって生まれつつあります。

(本記事は弊社広報誌「ecoo22」より転載)

 

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